2006年05月28日

〜The port story〜 岸壁のたんこぶヤーさま(3)


そして、同じ種類の魚でも、場所が変わると釣り方や好む餌ががらっと変わったりする。
観光バスで来た酔っ払いオッサンたちの地元でやっている釣り方を、ここでやる気はない。
相手にすると面倒なので、わたくしもノンも人が通りかかるとわざと仏頂面を作り、話し掛けにくい雰囲気を醸し出すことを心がけていた。
観光を終えたオッサンご一行様が再びバスに乗り込んで行ってしまうと、辺りはまた静かになった。
わたくしたちはほっとして仕掛けを上げ、コマセ網に餌が残っているか確かめた。

干潮や満潮の頂点の時には「潮止まり」という潮が動かなくなる時間帯があり、魚の活性も止まると言われている。
当然、釣れにくい。
潮が止まると、風も止まる。
さっきまでトロッとしているように見えた海面に少し動きが出て、時折、風が髪を揺らした。
止まっていた潮が動き出す時間。
カタクチイワシに混じってぽつぽつとメバルが釣れはじめた。
煮付けにするとおいしい。
わたくしたちは夢中になった。

「やぁ!」という声に振り向いたわたくしは、固まった。
隣のノンが「ひっ…」と小さく息を飲む声が聞こえた気がする。
そこに立っていたのは、パンチパーマ。
白っぽい麻のジャケットの下には、派手な色で趣味悪い柄のシャツが見える。
ジャケットと同じように白っぽいパンツ、白いエナメル靴。
どっから見てもその筋の人が、わたくしとノンを見て、ニカッと笑って立っていた。

その笑顔から威嚇やすごむ感じは受けなかった。
どちらかと言うと人懐っこい笑顔だったが、でも、怖かった。
パンチの傍には、男がもう一人。
そちらは普通の感じの人だった。
地位は、パンチの方が上と見た。
あぁ、まずい。
どうしよう。
-続く-


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posted by ぴょんぴょん at 12:13| Comment(1) | The port story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
タイトルの“ヤーさま”って
あの“ヤーさま”だったのですね(笑)。
続きが楽しみです…。
Posted by とらら at 2006年05月28日 17:42
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