2006年05月30日

〜The port story〜 岸壁のたんこぶヤーさま(4)


「なに釣ってるの?」

「メッ、メバルです…」

パンチは、釣った魚を入れたバケツをのぞき込んだ。

「おっ、けっこう大きいね」

「はっ、はい…」

「あ、糸引いてるよ」

「はっ、はい…」

パンチとその連れは、わたくしたちの釣りを見物することに決めたようだ。
近くにいて離れない。
むちゃくちゃ怖い。

釣れたのはカタクチイワシだった。
このあたりでは「シコイワシ」とも呼ばれる。
わたくしは基本的に「釣ったら食べる派」で、大きくなる魚の稚魚がかかった時、しかも傷ついていなかった場合にしかリリースしない。
傷ついているとリリースしても十中八九は死んでしまうから、だったら責任持って食べてあげたほうがいいのかなと思っている。

イワシは漢字で「鰯」と書く。
字の如く弱い魚である。
針を飲んでいることも多い。
外す時にどうしても口が傷つくので、キャッチ&リリースは無理。
それで、小さくても、いつも持ち帰って食べている。
佃煮風にすると骨まで食べられておいしいのだ。

いつものように持ち帰るつもりで、無造作にイワシを握って針から外そうとしたら、パンチが声を出した。

「あっ…」

「はっ、はい?」

「そっと触らないと。弱い魚だからさ。すぐに死んじゃうよ」

「リリースはしません。持ち帰ります」

「そうか。仕事は何してるの?」

相手がその筋の人だとしても、いや、その筋の人だからこそ、個人情報を正直に話すつもりはない。
けれど、あいまいに答えて「ふざけんなよ!」と、どやされたら、それも怖い。
意を決して「遊び人です」と答えると、意外なことに、パンチは面白そうに笑った。

「この人は坊さん」

パンチは、連れの男を紹介した。
パンチ自身の自己紹介は、なかった。
見ればわかるだろう、ってことなんだろう。

ヤーさまと坊さんという組み合わせが少々不思議だったが、関わり合いになると本気でヤバそう。
パンチの機嫌を損ねたら、海に沈められるかもしれない。
手回し良く、読経要員の坊さん付きだし…。
-続く-


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posted by ぴょんぴょん at 06:46| Comment(1) | The port story | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ふふふっ、いつも楽しく拝見させていただいています。
最初はぴょんぴょんさんが釣りを???
と思いましたが(笑)何だか楽しそうですね。
私は餌をつけられない、釣った魚を自分で外せないという意気地なしです(^-^;
胃の調子、いかがですか。
お忙しいこととは思いますが、あまり無理しないでくださいね♪
Posted by トマト at 2006年05月31日 11:56
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