原爆の子改版長田新 著
「広島の少年少女のうったえ」というサブタイトル通り、原爆の恐ろしさ、被爆した痛み、苦しさ、家族や友人を失った悲しみが切々と綴られている。
一瞬にして孤児になってしまった子、友人は全員死んでしまい、生き残った自分に罪悪感を感じる子、火のまわった家の下敷きになった肉親を助け出すことができず、火に追われて泣きながらその場を離れて行くしかなかった子…。
心からの叫びは読んでいて苦しく、何回読んでも本当に痛ましい。
でも、世界で唯一の原子爆弾被爆国民として、いや、被爆国に生まれたからこそ、絶対に避けて通ってはいけないことだと、わたくしは常々思っている。
原爆投下時、爆心地の温度は摂氏4000度になったとも、7000度になったとも聞く。
太陽の表面温度ですら、約6000度。
鉄が溶ける温度は1500度。
爆心地付近にいた人は文字通り、瞬時に「蒸発」してしまった。
そして、爆風と放射能。
わたくしが子供の頃、近所に住んでいたおばさんは、真夏でも長袖を着ていた。
ノースリーブはもちろん、半袖姿も見たことがない。
スカートもぞろっとした長い丈だったし、だいたいはズボンをはいていた。
ずっと後になって、おばさんは広島で被爆し、幸いどこにも傷は受けなかったけれど、被爆以来、ちょっとぶつけたり疲れが溜まると身体に内出血の点がポツポツと出て治りにくいので、肌を隠していると知った。
被爆後20年以上経っていたのに、おばさんの「戦後」はまだ終わっていなかったのだ。
原爆投下から61年経った。
「あの時」の記憶を持っている人は高齢になりつつあり、あと30〜40年もすれば、体験者はいなくなってしまう。
愚かな歴史を繰り返さないためにも、「原爆の子」は世界中の人に読んでもらいたい本だと思う。
なんの因果か、この本を読んで溜息をついている時、北朝鮮が核実験を予告したと知った。
外交カードとして使うのだろうという人がいる。
本当に実験するだろうという人もいる。
プロメテウスの火は、絶対にもてあそんではいけないものなのだ。
これからどうなるのか考えると、どうにも暗い気分になってしまう…。
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posted by ぴょんぴょん at 23:51|
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